原子核の中の核子の状態を特徴つけるものにスピン・軌道力がある、これが非常に大きいため原子核の単一粒子状態は原子の電子状態と大きく異なる。原子ではスピンと軌道角運動量がそれぞれ全体でいくらかを考えれば良いが、原子核ではスピンと軌道角運動量がどう結合しているかが重要である。マイヤーとイェンセンは原子核にスピン・軌道力を導入して原子核の殻模型の基礎を築きノーベル賞を授賞した。ところがΛハイパー核ではこれがどうやらかなり小さいことが分ってきた。スピン・軌道力は元々近距離で生じる力であるので核子やハイペロンに含まれるクォークの自由度が重要となる。この問題は原子核物理学を陽子、中性子の世界からストレンジネスを含む世界に広げた時現れる非常に基礎的な問題である。これを調べる実験を米国ブルックヘブン国立研究所で行なうために現在準備を進めている。テスト実験を行った所問題点の多くが解決出来ることが分った。