イメージファイルを扱う
今日の授業内容
< 予備知識 >
非GUI環境について
今使っているウィンドウマネージャーのGNOMEは、
パソコンのデスクトップやアプリケーションのように、
ボタンやアイコンなどを積極的に使い、あまりマニュアルを読まないでも、
ある程度使用方法が予想できるようになっている。
このように抽象的な画像を用いて、
ユーザーとプログラムのなかだちとするやりかたをGUI
(Graphical User Interface)と呼ぶ。
これに対してGUIでない環境のもとでUNIX計算機を使う方法も有る。
この非GUI環境で作業するときの手順を簡単に説明する。
非GUI環境での作業
- 通常は端末ソフトウェアを起動する。
どのUNIX環境でも使えて日本語表示できるものとしては
kterm がある
(名前は kanji-terminal のような意味)。
- kterm を起動するには、
アプリケーションランチャーのディスプレイの絵のボタンをクリック
(第1回で一度使った)。
立ち上がったウィンドウではキーボードから
コマンドが打てる。
この状態でウィンドウはコマンド待ち状態で
コマンドプロンプトが出ているはず。
- コマンドを打ち込んでリターンキーを打つと、
コマンドが実行され、コマンドの結果が端末内に表示されて終了し、
コマンドプロンプトが出てくる(つまりコマンド待ち状態にかえる)
こともあるし、プログラムが新しいウィンドウを開くこともある。
- 以下のようなコマンドを実際に使ってみる。
コマンドも大文字・小文字を区別するので注意。
pwd |
Present Working Directory(PWD)の意味、
今作業中のディレクトリーの名前(PATH)を表示する。
以前述べた「今いるディレクトリー」に相当する。 |
ls |
今作業中のディレクトリー(PWD)
にあるファイルとディレクトリーを全て表示する。 |
ls -l |
上の ls コマンドに -l という
オプションがついたもの。
結果の表示内容は、ファイルモード、所有者、サイズ、
作成日時などが付いて詳しくなる。 |
ls -a |
ここでも別なオプション -a がついている。
これまで表示されていなかったファイルやディレクトリーが表示されている。
表示されていなかったのは「.」(ピリオド)
で始まる名前のファイルやディレクトリー。
各ユーザーのホームディレクトリーにあるこれら通常非表示のファイルは、
各種設定ファイルである場合が多いので無闇に消したりしないように。 |
date |
今日の日付、曜日、今の時間を表示する。 |
set |
各ユーザーの環境変数を表示。
本来 set コマンドは環境変数を設定するためのコマンドだが、
コマンドだけを打つと設定されている全ての環境変数を表示する。
環境変数はコマンドが実行されるときに参照されることがある。 |
xclock |
アナログ時計を表示するウィンドウが新たに開く。 |
xcalc |
関数電卓を起動する。
新たにウィンドウが開く。 |
- ここで例として挙げたコマンドは簡単なものばかりだが、
GUI環境で起動できる全てのプログラムはコマンドを介して起動できる。
GUI環境のアイコンやランチャーは、
マウスのクリック操作をコマンドに替えているだけ(ショートカット)。
- 上の例で比較的単純なコマンドはすぐに終了しコマンドプロンプトにかえるが、
xclock や xcalc のようなコマンドは、
プログラムを止めない限りその機能が動き続けるので、
コマンドプロンプトが返ってこない(従って次のコマンドが打てない)
ことに注意。
これを避けるには、コマンドの最後に「&」を付けてコマンドを実行する。
このような走らせ方を「バックグラウンド」
(裏側)で走らせるという。
反対に&を付けないでコマンドを実行するのは
「フォアグラウンド」
(表側)で走らせるという。
なおフォアグラウンドで実行中の xclock や xcalc
などのプログラムを終了させるには、ウィンドウの「×」
ボタンをクリックしても良いし、kterm の中で Ctrl
キーを押しながら C キーを打っても良い。
ビットマップファイル
今日は画像ファイルを見たり作ったりしてみる。
最も簡単な画像ファイルとしてビットマップを扱ってみる。
UNIXのビットマップファイルを見る
- 画像ファイルの中で一番簡単なものがビットマップファイルである。
ビットマップファイルは一般にM行N列の点の並びで、
各点の色が黒か白に設定されているものである。
- 言葉で説明していてもあまり実感が無いので、
ビットマップファイルの例
を見てみる(リンクをクリックすると新しい Navigator ウィンドウが開く)。
これは50行×50列のビットマップファイルである。
「りんご」をかいたつもり(そうは見えない?)。
- ここでハイパーテキストからリンクされたファイルを取得する例として、
上のビットマップファイルをローカルファイルにコピーしてみる。
いくつか方法が有るが、次の方法を試してみる。
- ファイルの入れ先として、ホームディレクトリーに graphic
というディレクトリーをあらかじめ作っておく
(ファイルマネージャーを使用)。
- さっきリンクをクリックして開いた画像
(ビットマップファイル)を保存するため、
プルダウンメニュー「ファイル」の
「名前を付けて保存」をクリック。
- graphic というディレクトリーをダブルクリックすると、
そのディレクトリーに移動出来るので、
移動後ファイルを保存する。
ファイル名は自由に付けられるが、一応 apple.xbm とする。
- 別の方法としては以下のようなやり方もある
- ハイパーテキスト中のリンクをマウスで右クリック
(ボタン3クリック)するとメニューが出るので
「リンクを名前を付けて保存」を選ぶ
- あとは上の方法と同じく、
ファイル保存先のディレクトリーへ移動しファイルを保存する。
- ハイパーテキストに埋め込まれた画像も、
これと同様のやり方でコピーできる(例えば下の画像)。
画像上で右クリックするとメニューが出るので
「画像を名前を付けて保存」をクリックで選ぶ。
- 保存したビットマップファイルを見たり編集するには、
GUI環境でのやりかたの一例は
- ファイルマネージャーを起動し、
さっき作った graphic というディレクトリーに移動する。
- apple.xbm をダブルクリックすると、
今の環境では「エレクトリックアイズ」
というアプリケーションが立ち上がる
(エレクトリックアイズというアプリケーションが xbm
という名前と関連付けられているため)。
- このアプリケーションではビットマップファイルが見えるが、
実質的な編集は出来ない。
エレクトリックアイズは「×」ボタンをクリックして終了する。
- 非GUI環境でのやりかたの一例は
- kterm 端末を起動する(アプリケーションランチャーで)。
- 次に graphic というディレクトリーに移動する。
移動の仕方は次の手順で。
- pwd コマンドで今居るディレクトリーが確認できる
(今の設定ではコマンドプロンプトにもPWDが書いてある)。
- ls コマンドで今居るディレクトリーにある
ファイルやディレクトリーが表示される。
graphic というディレクトリも含まれているはず。
- cd graphic というコマンドで graphic ディレクトリーに移動する。
cd は Change Directory の意味である。
コマンドプロンプトもPWDの変化に従って少し変わるはず。
- ここで ls コマンドを打つと apple.xbm
というファイルが表示されるはず。
- ここで bitmap apple.xbm
というコマンドを打つとウィンドウが開き
ビットマップが表示される。
このコマンドは、bitmap というプログラムで apple.xbm
というファイルを開きなさいという意味である。
bitmap はビットマップを編集するのに特化したプログラムである。
- 今は編集しないので File メニューの Quit を選んで bitmap
を終了する。
注意点
- ビットマップにはいくつかの種類がある。
ここで扱ったのはUNIXで標準のXビットマップ。
その他に Windows で使うビットマップ(Windows ビットマップ)、
OS2 で使うビットマップなどもある。
困ったことに、それらの異種ビットマップ間には互換性が無い。
従って、同じビットマップと呼ばれていても、
違ったグラフィックファイルとして扱う必要がある。
- 画像ファイルの取り扱いには注意すること
- インターネット上にあるファイルは、
原理的には全てローカルファイルに保存できるが、
画像の著作権は常にその画像の製作者にある。
画像使用の許諾条項などが明確に記されている場合はそれに従うこと。
- イメージスキャナーで写真等をとり込むことも原理的に可能であるが、
著作権および肖像権には十分注意すること
- ビデオキャプチャーボードでビデオの一画像をとり込むことも可能であるが、
著作権および肖像権には十分注意すること
ビットマップファイルの使い方
- ビットマップファイルの使い道の代表的な例としては、
デスクトップのバックグラウンドへの張り付けがあるので、
試しにやってみる。
- GUI環境での張り付け方の例は
- 先にやったように、ファイルマネージャーで apple.xbm
をダブルクリックする。
出てきたエレクトリックアイズのウィンドウ内で、
マウスの右クリックをするとメニューが出る。
「ファイル」の
「デスクトップの背景にセットする」を選ぶと、
ビットマップがデスクトップのバックグラウンドに張り付く。
- これを解除するには、
デスクトップ背景上で右クリックすると、
メニューが出る。
「背景画を設定」を選ぶと、
GNOMEコントロールセンターのウィンドウが開く。
「なし」
を2回クリックし「OK」
をクリックすると背景が消える。
プルダウンメニュー「ファイル」の「終了」をクリックし、
GNOMEコントロールセンターを終了する。
エレクトリックアイズは「×」ボタンで終了する。
- 非GUI環境での張り付け方の例は
- kterm 端末を起動し apple.xbm があるディレクトリーに移動する
(pwd や ls コマンドで確認し cd コマンドで移動)。
- xsetroot -bitmap apple.xbm
というコマンドを実行するとビットマップがデスクトップ背景に張り付く。
- また色をつけたければ xsetroot -bitmap apple.xbm
-fg DarkSlateBlue -bg DarkOliveGreen4
というようなコマンドが使える。
コマンドが長いのでウィンドウ端で折り返すことがあるが気にしない。
-fg と -bg はフォアグラウンドカラーとバックグラウンドカラーを
指定するオプション。
DarkSlateBlue と DarkOliveGreen4 は色の種類。
- もしこのバックグラウンドを消したければ
xsetroot -def というコマンドを打つ。
もちろん一度ログアウトすれば元に戻る。
ビットマップファイルを作る
- 今度はビットマップを自作してみる。
ここでは非GUI環境で bitmap コマンドを使ってビットマップを製作する。
- kterm が立ち上がっていない場合には、
アプリケーションランチャーで kterm を立ち上げる。
cd コマンドを使って graphic ディレクトリーに移動する
- bitmap -size 40x40 コマンドでビットマップ製作を開始。
-size 40x40 というオプションは、
40行40列の大きさのビットマップファイルを作成することを宣言している。
- bitmap コマンドに入ると、
マウスで左ボタンクリックすることで、現在ポインターのある点を水色に出来る。
また反対に、右ボタンクリックで水色が青に戻る。
最終的なビットマップとしては水色が黒に、青が白になる。
- 点単位で色が変わるが、
これは bitmap のモードが Point(点)のモードになっているため。
モードは Curve, Line, Rectangle(四角),
Filled Rectangle(塗りつぶした四角),
Circle, Filled Circle などのボタンをクリックし変更できる。
色々とやって体験的に理解してみる。
- 描いたビットマップについてはひっくり返し、並行移動、
回転などの操作がボタンにより可能である。
- ビットマップの作成を終えたらビットマップを保存する。
保存するには File メニューの Save
を選びファイル名(例えば my.xbm)を入力。
- File メニューの Quit にて bitmap を終了する。
一般的な画像ファイル
もっと一般的な画像ファイル形式には JPEG 形式、GIF
形式、PNG 形式などがある。
これらも一般的なビットマップ形式(M行N列のカラーピクセルからなる)
のファイルであるが、主に画像圧縮の技術が異なっている。
ここでは、JPEG 形式の画像ファイルの加工をやってみる。
JPEG ファイルの加工
- JPEG 形式のファイル
(カモ、
花、
毛虫、
玉虫、
バッタ、
カエル、
とんぼ
のいずれか)
をローカルディレクトリー(graphic)にコピーする。
- 今回はGIMPというアプリケーションを使うことにする。
メインメニューで「グラフィック」の
「GIMP」をクリック。
最初にインストールするかと聞いてくるのでインストールする。
GIMPが立ち上がると「ヒント」のウインドウが出るので「了解」
をクリックする。
- プルダウンメニュー「ファイル」の
「開く」を選び、
上の JPEG ファイルを開く。
すると画像のウィンドウが新たに開く。
- 開いた画像のウィンドウ中で右クリックするとメニューが出てくる。
そのなかの「フィルタ」
を色々と試してみる(その他の操作もやって良い)。
- かけたフィルタを元に戻したい場合は、右クリックで
「編集」
の「アンドゥ」を選ぶと元に戻る。
「アンドゥ」は何回でも出来る
(3回フィルタをかけて3回アンドゥするなど)。
- 加工した画像を保存するには右クリック「ファイル」の「保存」
(上書き、元のファイルが残らない)を選ぶか、
「別名で保存」を選び元のファイルとは違った名前を入力し
「了解」をクリック。
参考
ここで用いたソフトウェアはビットマップ(XBM, JPEG, GIF, PNG 形式など)
の編集用の、俗に「ペイント系」と呼ばれるソフトウエアである。
この他に「ドロー系」と呼ばれるベクトル形式の画像を取り扱う
ソフトウェアも用意されている。
その一つは Applix グラフィックスで、その起動は以下のやりかたで。
- メインメニューのセンターメニュー、Applixware オフィススイート、
Applix グラフィクスをクリック。
あるいは、
- メインメニューのセンターメニュー、Applixware オフィススイート、
Applix メインメニューをクリックするとウィンドウが立ち上がる。
ウィンドウ中のグラフィックスのボタン(左から2番目)をクリック。
なおUNIXで一般的に使えるドロー系のソフトウエアの代表的なものとしては
tgif がある。
起動するには、非GUI環境で tgif というコマンドを実行する。