第9週


TeX を使う2


今週は LaTeX の色々な機能について見ていきましょう。 まず LaTeX は文章中にテーブルを簡単に作れるのでそれを見てみましょう。

*テーブルを作る

テーブルの作り方や表示形式の変え方が理解できたでしょうか。 今度は文章中に図を入れる機能を見てみましょう。

*図を挿入する

今度は数式の書き方を見てみましょう。 レポートや卒業論文を書くのに必要ですね。

*数式の書き方

以上主な LaTeX の機能を見てきました。 もっと LaTeX のことを知りたい人は LaTeX の参考書が数多く出版されて いますから購入して読むことをお勧めします。

それでは今週の課題です。

+今週の課題

これで今週の授業は終わりです。 お疲れさまでした。


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テーブルを作る

まずテーブルを使った LaTeX ファイルの例をコピーしてコンパイルし 表示してみましょう。

    % mkdir week09
    % cd week09
    % cp ~asakaguc/semia2.www/data/table.tex ./
    % latex table
    % latex table
    % xdvi table

上のコマンドで latex コマンドを2回実行しているのは間違いでは ありませんので必ず2回実行して下さい。 xdvi の出力を見ると1ページめの下の方にテーブルが入っていますね。 LaTeX を使うとこのようなテーブルが書けますがこの例のテーブルは 余り奇麗ではありませんね。 テーブルの書き方を理解しつつテーブルが奇麗になるように手直ししましょう。

    % emacs table.tex &

LaTeX の中を見てみるとわかると思うのですが、どうもテーブルは \begin{table} と \end{table} で挟まれた部分で書かれているようです。 先週 LaTeX では \begin と \end が対応した形のコマンドがあるといいましたが まさにこの場合がその例です。 \begin と \end の間を見てみると更に \begin{tabular} と \end{tabular} で 囲まれた部分があります。 この様に \begin と \end は何重にも入れ子にすることができます。

\begin{tabular} のパラメータとして {|r|r|r|} が与えられています。 このパラメータの中の「|」(縦棒)はテーブルの縦線を引くことを意味して います。 xdvi で見た時に確かに4本の縦棒が引かれていたことと思います。 「r」はその一つ一つがテーブルの列に相当します。 「r」は3個ありましたからこのテーブルは3列のテーブルです。 また「r」は同時に各列が右(right)詰めに配置されることも意味します。 「r」の代わりに「l」を使うと左(left)詰め「c」を使うと中央(center) に配置されます。 まずこのパラメータを変更してみましょう。 テーブルの縦棒は目障りなのでいらないとし第1列と第3列を左詰めで 第2列を中央に配置することにします。 従って \begin{tabulr} の行を次のように直してみて下さい。

        \begin{tabular}{lcl} \hline

上の変更の中で「l」は縦棒ではなくて「エル」ですので注意して下さい。 それでは保存して再びコンパイルして表示してみましょう。

    % latex table
    % xdvi table

少しテーブルがすっきりしましたね。 \begin{tabular} と \end{tabular} の間にはまだ4行があります。 これらの行は共通に & で区切られており xdvi の表示と比べてみると わかるように各行がテーブルの各行に対応しており & で区切られた 各項目がテーブル内の各項目に対応しています。 各行の後ろの方には \\ マークがついています。 これも LaTeX のコマンドの一つで(確かに \ で始まっていますね) 強制的な改行を行ないます。 先週いったように LaTeX では改行は改行として取り扱われませんから、 いくらテーブルの中で改行しておいてもテーブルの各行がくっついて しまいます。 そこでこの \\ コマンドを持ちいます。 \hline というコマンドも使われていますね。 これは horizontal line という意味で行と行の間に線を引きます。 この線も少し多過ぎて目障りですからいくつか消すことにします。 以下のようになるように table.tex を変更して下さい。

        \begin{tabular}{lcl} \hline
        animal & weight & comments \\ \hline
        cat & 1 & light         \\
        tiger & 100 &           \\
        elephant & 1000 & heavy  \\ \hline
        \end{tabular}

\hline を2個取り除きました。 コンパイルして xdvi で見て下さい。

あと気に入らない点としてはテーブルの水平位置です。 テーブルを中央に持ってきたいですね。 その場合には \begin{center} と \end{center} が使えます。 以下のように変更して下さい。

    \begin{center}
        \begin{tabular}{lcl} \hline
        animal & weight & comments \\ \hline
        cat & 1 & light         \\
        tiger & 100 &           \\
        elephant & 1000 & heavy  \\ \hline
        \end{tabular}
    \end{center}

簡単ですね。 コンパイルして xdvi で見てみましょう。

\begin{table} と \end{table} の間には \caption というコマンドがあります。 このコマンドはテーブルの説明文を入れるコマンドです。 \label というコマンドはこのテーブルにこの LaTeX ファイルの中から 参照できる名前をつけます。 今の場合「ABC」という名前をつけました。

この LaTeX ファイルの中にはもう一つ \ref というコマンドがあります。 このコマンドは上の \label コマンドで定義した名前のテーブルを参照する ためのコマンドです。 LaTeX は文章中のテーブルや図に出て来る順番に番号を割り当てます (Table 1 とかいう風に)。 文章中でこのテーブルなどを参照したい場合にはテーブル番号が 最初は決まっていないわけですから番号を記入するわけにいきません。 代わりに \ref コマンドを使うわけです。 この番号の対応付けは latex コマンドが自動的にやってくれますので 長い文章でテーブルや図を入れたり取ったりとか位置を移動する場合に 非常に便利です。

latex コマンドは一度にこの対応付けを行なうわけではありません。 まず最初の latex コマンドで table.aux というファイルが作られます。 このファイルの中にはどんなテーブルがあるとかどんな図が入っているとか ページ数は全部でいくらかなどの情報が書き込まれます。 2回目以降に latex コマンドが実行された時には前回に作った table.aux ファイルが読み込まれテーブルなどの番号の対応付けがなされます。 table.tex を最初にコンパイルした時に latex コマンドを2回実行したのは そのためです。

かなり長い table.tex の説明になりましたが理解できたでしょうか。

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図を挿入する

今度は図の入れ方です。 LaTeX ファイルの例をとってきてコンパイルしましょう。

    % cp ~asakaguc/semia2.www/data/figure.tex ./
    % latex figure
    % latex figure
    % xdvi figure

emacs で figure.tex を見てみると先ほどのテーブルの作り方とほとんど 同じですね。 違っている点は \begin{table} と \end{table} が \begin{figure} と \end{figure} になっている点ですね。 \begin{figure} と \end{figure} の中には新しいコマンド \vspace が 入っています。 このコマンドは vertical space の意味で、パラメータで指定した量だけ (この場合 3cm となっています)垂直方向に空間を空けます。

この例では図を張り込むための空間を空けているだけで実際には 紙にプリントアウトした後に図を糊付けする必要があります。 実は図自体の張り込みは LaTeX の規格としては用意されていません。 大抵の LaTeX が導入されているシステムでは図(EPS, encapsulated PostScript file、カプセル化されたポストスクリプトファイル)を張り込む拡張機能が用意 されていますが、その使用方はシステムに依存しているのでこの授業では 触れないことにします。 実際に図を張り込んだ例を1つ見るだけにします。

    % gs ~asakaguc/semia2.www/data/figure.ps

図の挿入は簡単でしたね。

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数式の書き方

皆さんの多くは物理学科の学生ですからレポートなどを書くには数式が 必需品ですよね。 ここで LaTeX ファイルに数式を書き込む方法を学習しましょう。 まず例を取ってきましょう。

    % cp ~asakaguc/semia2.www/data/equation.tex ./
    % latex equation
    % xdvi equation

数式が4行入っていますね。 emacs で equation.tex を見ながら数式の書き方を見てみましょう。 まず数式は \[ と \] で囲まれています。 これらのコマンドはそれぞれ数式の始まりと終了を示しています。 最初の数式はガウス関数の定義です。 大部分は普通の数式の書き方と同じですが \frac と \sigma という コマンドが使われています。 \frac は分数を書くためのコマンドで引数は2つあり1番目が分子2番目が 分母です。 \sigma はギリシャ文字の sigma を書くためのコマンドです。 当然他のギリシャ文字を書くコマンド \alpha \beta なども存在します。 ギリシャ文字のコマンドではコマンドの最初の文字を大文字で書いてやると 大文字になります。 つまり \Sigma と \sigma はそれぞれ大文字と小文字の sigma を書く コマンドです。 この例のようにコマンドの引数の中に更にコマンドを書くことは一般的に 可能です。 もう一つ「^」コマンド(山形)が使われています。 これはこのコマンドの引数が上付文字になります。 これとは逆に文字を下付きにするコマンド「_」(アンダースコア)もあり 2番目の数式中で使われています。 これらのコマンドのように LaTeX では \ で始まらないコマンドもいくつか あります。

2番目の数式は1番目の数式が理解できれば理解できますね。 3番目の数式では偏微分が出てきています。 偏微分のマークは \frac と \partial で書けます。 4番目の式では積分が出ています。 積分マークは \int コマンドで書けます。 積分の上限と加減を付けたければ先に出てきた上付きと下付き文字で 書くことができます。

数式は文章中に埋め込むこともできます。 この場合は数式を2個の「$」マークで囲みます。 文章中に埋め込む場合の注意は数式を短くすることと数式の高さを余り 高くしないことです。 そうしないと文章も数式も非常に見づらくなります。

数式の書き方もそれほど難しくありませんね。

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今週の課題

今週は LaTeX でテーブルを作ること図を挿入すること数式を書くことを 学習しました。 まず最初の課題としてテーブルを1個以上含む LaTeX のファイルを作って 教官にメイルで送って下さい。 そのテーブルを参照する(\ref コマンドでしたね)こともやって下さい。 教官に送る前に思い通りのファイルができているかを確認しておいて下さい。

    % emacs mytable.tex &
    % latex mytable
    % latex mytable
    % xdvi mytable
    % mail -s 'サブジェクト' asakaguc@sci.hiroshima-u.ac.jp u0872000 \ 
      < mytable.tex

もう一つの課題として、数式を含む LaTeX ファイルを作成して下さい。 \[ と \] コマンドを使った数式と $ マークを使った文章中の数式を 両方含む LaTeX ファイルを作成して下さい。

    % emacs myequation.tex &
    % latex myequation
    % latex myequation
    % xdvi myequation
    % mail -s 'サブジェクト' asakaguc@sci.hiroshima-u.ac.jp u0872000 \ 
      < myequation.tex

これで今週の課題は終了です。

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