2003年10月 日本化学会での講演(pptファイル;7.26 MB), (準専門家向け)
高エネルギーニュース 第24巻3号(2005年) p.182 (PDFファイル)
CANDLES計画では48Caの2重ベータ崩壊の研究を行い、ニュートリノ質量を世界で最も高い感度で測定することを目指している。なぜ今この研究を進めるべきか、またCANDLES計画の世界の研究のなかでの位置づけを示す。
CANDLES計画ではCaF2結晶を用いて48Caの2重ベータ崩壊の研究を進め、確実にGeの実験を越えて世界で最も良い感度を達成し、ニュートリノ質量にして0.1 eV程度の感度の測定を行う。また将来の0.03 eV領域の研究に繋げる。
図1 : ELEGANT VIの概略図。
CANDLES計画の基礎になった装置でEuをドープしたCaF2結晶(CaF2(Eu))を用いて宇宙暗黒物質の探索・2重ベータ崩壊の研究を進めている。48Caの2重ベータ崩壊で世界で最も良い感度
を達成している。この研究が基礎となり、CANDLESに発展した。
CaF2(Eu)での信号を、両側から活性剤を添加していない純粋なCaF2結晶(CaF2(pure))をライトガイドとして光電子増倍管(PMT)で読み出している。CaF2(pure)はシンチレータとしても動作し、PMT方向へのべトーカウンタになっている。この組み合わせを5×5の25ヶ並べ、更にその周囲をCsI検出器で覆うことにより4π方向のアクティブな遮蔽を達成している。鉛・銅などからなる通常のパッシブな遮蔽がさらに周囲を囲っている。図には示していないが、中性子対策のためホウ酸を溶かした水のタンクがさらに外側に積まれている。装置全体は、水換算で1400mの遮蔽に相当する地下にある大塔コスモ観測所に設置されている。
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CANDLESシリーズは現在IからIVまであり、I・IIは研究が完了、IIIは現在地上でのテスト実験を行っており、IVは計画中である。どれもCaF2結晶を液体シンチレーターに沈める基本デザインは同じである。
図2 : CANDLES Iの概略図。
CANDLESの基本原理を実証した装置。
図に示すように活性剤を添加していない純粋なCaF2結晶を液体シンチレータ中に沈め、周囲から4本の5インチPMTでシンチレーション光を測定した。CaF2結晶のシンチレーション光の減衰時間が1μsecであるのに対し、液体シンチレーターのそれは10 nsec程度と短いことを利用して信号の同定を行い、検出器外部やPMTからのバックグランドをべトーできることを実証した。またCaF2結晶を2つまで沈めた研究も行い、事象の起こった結晶を同定出来ることを示した。
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図3 : CANDLES IIの概略図。
CANDLESのデザインが結晶が沢山あっても成り立つことを実証するための装置。実機に近い大型(管径15インチ)のPMTを4本使用している。結晶は最大18個まで設置可能である。
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図4 : CANDLES IIIの概略図。
まずは現在のGeの検出感度を超える測定を行うための装置。10×10×10 cm3 (3.2kg) CaF2 結晶を60ヶ(合計190 kg)液体シンチレータ中に沈めて測定を行う。現在、原子核実験施設(地上)にてテスト(実証)実験を行っている。
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図5 : CANDLES III地下の概略図。
地上でのテスト(実証)実験を基に改良を施し、更に若干のスケールアップを行い、地下実験室(神岡)での測定を行う。10×10×10 cm3 (3.2kg) CaF2 結晶を96ヶ(合計300 kg)使用する。基盤(S)にて整備予定。
図6 : CANDLES IVの概略図。
結晶1000個程度、合計数トン分を液体シンチレータに沈める装置を建設し、48Caの二重ベータ崩壊を測定する。なおこれは現在予算要求中である。CANDLES計画と世界の現状。