20世紀の物理学は量子論と相対論によって爆発的に発展しました。その統一によって物質(粒子)と反物質(反粒子)が対称に存在することが解明されました。しかし現在我々が住む宇宙は物質だけの世界で、反物質は消え去っています。なぜでしょうか。これを解明することが21世紀の物理学の大きな目標になっています。鍵は粒子と反粒子の世界が行き来出来ることの証明です。我々は2重ベータ崩壊の研究を通してこの問題に挑戦しています。CANDLES検出器を建設し、神岡地下実験室(東大宇宙線研)での測定を進めています。一方で、宇宙の未知質量も大きな問題で、ダークマターの探索にも取り組んでいます。技術的には2重ベータ崩壊研究と深く関係しています。
私達の世界を作る物質の基本は原子核です。原子核は基本的に陽子と中性子で出来ています。素粒子を解明していく上で、ハイペロンと呼ばれる陽子や中性子の仲間が多く見つかりました。陽子や中性子の仲間である証拠にはそれらは原子核を作ります。それがハイパー核です。これらを加速器で作って研究しています。現実の世界には無い原子核ですが、非常な高密度原子核とのいえる中性子星の中ではその知識が必要になります。またハイペロンだけではなく、K中間子がボーズ粒子として凝縮している可能性もあります。我々の最近の研究はその可能性を示しています。日本ではこれらの研究のためにJ-PARCという世界最高性能の加速器が東海村に建設されて、実験が始まっています。私たちも中性子過剰なハイパー核を調べる実験を推進しています。
低放射線バックグラウンド地下実験施設での非加速器実験によるレプトン数非保存と宇宙の物質生成(二重ベータ崩壊の探索)、宇宙暗黒物質(ダークマター)の探索、基本相互作用と保存則の研究。
レプトン数非保存と宇宙の物質生成(二重ベータ崩壊の探索)
http://wwwkm.phys.sci.osaka-u.ac.jp/info/syoukai/dm.html宇宙暗黒物質(ダークマター)の探索
http://wwwkm.phys.sci.osaka-u.ac.jp/info/syoukai/neumass.html研究施設
奈良県大塔コスモ観測所 宇宙線研究所神岡宇宙素粒子研究施設ハイパー核と核内ストレンジネス(s)クォークの相互作用。ハイパー核分光器によるK,π中間子、核子分光。(π、K)や(K、π)反応でハイパー核生成と崩壊を調べ、sクォークを含む強弱相互作用を解明する。
研究施設
J-PARC 高エネルギー加速器研究機構 米国ブルックへブン国立研究所J-PARC (Japan Proton Accererator Research Complex)
http://j-parc.jp/
米国ブルックヘブン国立研究所 AGS加速器と関連施設
https://www.bnl.gov/world/
高エネルギー加速器研究機構 陽子シンクロトロンと基幹実験施設
http://www.kek.jp/ja/
核物理研究センター(RCNP) 加速器、および基幹実験施設
http://www.rcnp.osaka-u.ac.jp/
リングサイクロトロン 加速器、および基幹実験施設
http://www.rcnp.osaka-u.ac.jp/Divisions/plan/yoran/ring.html
奈良県大塔コスモ観測所 素粒子核分光器による地下実験(地下 500 m)
http://wwwkm.phys.sci.osaka-u.ac.jp/info/syoukai/oto.html
東京大学宇宙線研究所 神岡宇宙素粒子研究施設 素粒子核分光器による地下実験
http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/
兵庫県西播磨大型放射光施設(SPring8) クォーク・レプトン実験施設
http://www.spring8.or.jp/ja/