ELEGANT IV実験
CANDLES計画の基礎になった装置で、EuをドープしたCaF2結晶(一般的にCaF2(Eu)と記されます)を用いて、宇宙暗黒物質の探索・二重ベータ崩壊の研究を実施し、48Caの二重ベータ崩壊において世界で最も良い感度を達成しました。この研究が基礎となり、CANDLESに発展しました。
CaF2(Eu)での信号を、両側から活性剤を添加していない純粋なCaF2結晶(CaF2(pure))をライトガイドとして光電子増倍管(PMT)で読み出しています。CaF2(pure)はシンチレータとしても動作し、PMT方向へのべトーカウンタになっており、この組み合わせを5×5の25個並べ、更にその周囲をCsI(Tl)検出器で覆うことにより4π方向のアクティブな遮蔽を達成しています。この構造により、バックグラウンドフリーが達成でき、大きな成果を得ることができました。CANDLES実験のコンセプトは、この成功から発展したものです。
鉛・銅などからなる通常のパッシブな遮蔽がさらに周囲を囲い、中性子対策のためホウ酸を溶かした水のタンク(図では省略)がさらに外側に積まれています。装置全体は、水換算で1400mの遮蔽に相当する地下にある大塔コスモ観測所に設置されていました。
CANDLESプロトタイプ実験
CANDLESの基本原理を実証した検出装置です。
活性剤を添加していない純粋なCaF2結晶を液体シンチレータ中に沈め、周囲から4本の5インチPMTでシンチレーション光を測定する検出器(CANDLES-I)を製作して、CaF2結晶のシンチレーション光の減衰時間が1μsecであるのに対し、液体シンチレーターは10nsec程度と短いことを利用して信号の同定を行い、検出器外部やPMTからのバックグランドをアクティブに遮蔽できることを実証しました。またCaF2結晶を2つまで沈めた研究も行い、事象の起こった結晶を同定出来ることを示しました。
CANDLESのデザインが結晶が沢山あっても成り立つことを実証するため、実機に近い大型(管径15インチ)のPMTを4本使用し、複数の結晶を同時に計測する装置(CANDLES-II)を製作しました。結晶は最大18個まで設置可能でした。
10×10×10 cm3 (3.2kg) CaF2 結晶を60ヶ(合計190 kg)液体シンチレータ中に沈めて測定を検出装置(CANDLES-III地上)。大阪大学(地上)にてテスト(実証)実験を行っていました。